2014年6月アーカイブ

「いつも『うつ病が治るのだろうか』と聞かれる。『良くなっているよ、治っているよ』と言うと『そんなことはない』と口論になる。また、『自信がない』が口癖。学校も辞めたいと言う、どうしたらいいでしょう」という質問です。

うつ病リハビリ期の当事者がやたらに自信をなくしているのには、いくつかの理由があります。

■マイナス記憶の積み重ね

うつ病状態では、過去と未来がまるで色眼鏡をかけているように、とても否定的に見えてしまいます。

人は、記憶を蓄積する際、その記憶に伴う評価も一緒に保存してしまいます。保存された記憶は、もしその時点での評価が「このことでは痛い目に遭った」というものであれば、無意識のレベルで、現在のあなたに「あのことに気をつけろよ」という指令を与え続けるのです。

入社一年目のとき、自分が三日間かかった仕事を、「○○さん(20年のベテラン社員)なら半日でやれるぞ」と発破をかけられた、という人がいます。そのときはうつ状態になっていたので、今思うと当たり前のことなのに、「自分はだめな人間だ」というレッテルを貼ったまま記憶されてしまいました。リハビリ期の今も、自分は能力がないという感じがしてしまうのです。

このように元気なときの視点なら「運が悪かっただけではないか」とか「大したことではない」「自分が悪いわけではない」と思える出来事でも、実際、同じような場面になると、過去に記憶されたときの評価が無意識に表面化してしまうのです。

コンピュータを買った当初、あなたがまだ何もわからないうちに、いくつかの設定をしてしまったとしましょう。そして今はそのことを忘れています。

あなたは、最近どうもコンピュータの使い勝手が悪いと感じていますが、もともとこんなものなのだろうとあきらめています。使い勝手が悪いのは(自分でやった)設定のせいなのですが、意識してそこを探り設定を変えない限り、今のコンピュータの動きで我慢するしかないのです。

古い記憶に付随する評価の影響は、このコンピュータの設定のようなものなのです。人の生活を不自由にしている。どうしてそう感じ、考えるのか自分でもわからない。うつ病の症状に注意しましょう。

うつ病の症状として過去のつらい記憶は、このように現在のあなたの反応に深い影響を与えるのです。